エクストルージョン抜歯で歯ぐきを整えたインプラント症例

他院で左上前歯の抜歯を勧められた患者さまの症例です。外部吸収により歯根と周囲の骨が大きく失われていたため、約4ヵ月間のエクストルージョン後に抜歯。骨と歯ぐきの条件を整えてからインプラントを埋入し、周囲の歯と調和した自然な前歯の回復を目指しました。

治療前

エクストルージョン

術後

「他院で左上の前歯を抜歯する必要があると言われたため、今後の治療方法について相談したい」と来院された患者さまの症例です。

治療前は左上の前歯が大きく変色しており、詳しく検査したところ歯根の外部吸収が進行していました。歯を保存することは難しく、当院でも抜歯が必要と判断しました。

しかし、前歯は歯そのものの形や色だけでなく、周囲の歯ぐきの高さや厚みが最終的な見た目に大きく影響します。特に骨が少なくなった前歯をそのまま抜歯すると、抜歯後に歯ぐきがへこんだり、周囲の歯と歯ぐきのラインが揃いにくくなったりすることがあります。

そこで今回は、すぐに抜歯するのではなく、約4ヵ月かけてエクストルージョンを行いました。エクストルージョンとは、矯正力を利用して歯を抜く方向へ少しずつ引き上げる方法です。

時間をかけて歯を移動させた後に抜歯することで、インプラント治療に必要となる骨と歯ぐきの条件を整えました。その後、インプラント治療を行い、最終的には反対側の右上前歯とのバランスも考慮しながら、周囲の歯ぐきと調和する自然な前歯の回復を目指しました。

術前

エクストルージョン・骨造成後

インプラント埋入後

治療前のレントゲンでは、外部吸収によって歯根が大きく欠損しているだけでなく、歯の周囲を支えている骨も大きく失われていることが確認できます。
この状態で前歯を抜歯すると、もともと少なくなっていた骨がさらに痩せ、インプラントを理想的な位置に埋入するための骨量が不足する可能性がありました。

そこで、約4ヵ月間エクストルージョンを行い、左上前歯を抜歯する方向へ少しずつ移動させました。時間をかけて歯を引き上げてから抜歯することで、この症例では十分な厚みを持つ骨を確保することができました。
その結果、インプラントを最終的な前歯の位置や周囲組織とのバランスを考慮したポジションに埋入することができました。

前歯のインプラント治療では、「抜歯してインプラントを入れる」という手術だけを考えるのではなく、最終的な歯の位置から逆算して、インプラントを支える骨や歯ぐきをどのように残すか・整えるかを考えることが重要です。
今回のように抜歯が必要な歯であっても、抜歯前からその後のインプラント治療を見据えて計画することで、より安定した骨・歯ぐきの環境と自然な前歯の回復を目指せる場合があります。
担当医 貴志 文哉
主訴 他院で左上前歯の抜歯を勧められ、相談したい
期間 1年
費用 759,000円
治療内容 歯根と周囲の骨が大きく失われた左上前歯に対し、約4ヵ月間エクストルージョンを行った後に抜歯しました。骨と歯ぐきの条件を整えたうえでインプラントを埋入し、前歯の回復を図りました。
治療に伴うリスク 治療期間中に歯の痛みや違和感が生じる場合があります。
治療期間や治療結果には個人差があります。

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